信じてみないとスタートじゃない──
ファッショナブルなキャラクターと世の中にひとこと物申す音楽性が売りの『きゃりーぱみゅぱみゅ』の1曲です。この曲も例に洩れず、キラキラしたサウンドの中に社会批判的なアプローチが含まれています。僕自身、こういうちょっと過激めな思想が見え隠れする曲はあまり好まないんですが、どうしてもカッコいいので紹介したいと思います。
①”期待のリップサービスに…
…甘いキック キミが好き”
曲の世界観を第一に提示する大事な冒頭部分ですが、本当に言葉の並べ方置き方が巧みで感心します。本題に触れすぎないような間接的な言い回しでお洒落に韻を踏みながら、最後には”キミが好き”の結び。かなりデザイン性の優れたAメロだと思います。
②”少数派は見えない”
この曲の中でもかなり比重が大きい詞だと考えられ、言わずもがな昨今の社会問題について言及しています。今回、そのことについての個人的な意見や見解は端折りますが、ここまではっきり物事に切り込むことのできる決意の姿勢こそ、『きゃりーぱみゅぱみゅ』のカリスマ性なんだと思います。そのあと、”掻き消されないメロディー”という音楽に絡めた表現でサビへと向かうのも嬉しい構成です。
③”ぼくはきみのみかた”
あれこれ社会に対しての意見を言いながらも、結局根底にある伝えたいものは”ぼくはきみのみかた”だということで、ポップさとシニカルさを同居させているきゃりーちゃんらしい楽曲テーマだと感じます。
また、音楽的な観点ですが、もともと僕は作曲者である中田ヤスタカの大ファンで、彼の世界規模な才能と技術をとても尊敬しています。この曲も、シンプルなメロディーを立体的にする高度なアレンジメントがなされており、初めて聴いたときは感服しました。本当に非の打ち所がない……。
個性的なキャラクターのボーカリスト、それを支える天才的なコンポーザー。揺るがない圧倒的なブランドの上に生まれた名曲だと言えます。
『きみのみかた / きゃりーぱみゅぱみゅ』
作詞:中田ヤスタカ
作曲:中田ヤスタカ
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