●かんりしゃのひとこと
どうも。「かんりしゃ」です。
何か物語に触れた後、それを誰かと共有するっていうのは、なかなかに贅沢なことと思います。今回、「ちゅん」と「キキ」とでそれを何度か繰り返し、言葉にしていきたいとのことだったので、せっかくならばブログにしようと、企画しました。
読んだ方は、ぜひ「ちゅん」や「キキ」と感想を共有したげてください。
●はじめに
こんにちは。ちゅん(スタッフ)とキキ(職員)です。
ちゅんが個人的に3年以上かけて読み進めていた漫画作品『NARUTO』をこの度全巻読破したことを記念し、同じく『NARUTO』を過去に読破しているキキと一緒に特別感想会なるものを行いました。元々、ちゅんとキキはしばしば『NARUTO』について雑談をしていましたが、ちゅんの『NARUTO』を読み進めていく中で芽生えたモヤモヤの存在や『NARUTO』全体に含まれる深く重いメッセージを咀嚼したいという希望が、今回こういった形に発展しました。作中の細かい設定および議論の詳細は伝えきれないので、よく分からない部分も多いかもしれませんが、ちゅんとキキが『NARUTO』を通じて思ったこと、そしてそこから派生する心理的なやりとりの一端をほんの少しでも感じ取ってくれたら嬉しいです。
また、本記事は『NARUTO』のネタバレを大きく含みます。
●2つのメイン議題
【議題⓵『NARUTO』からのメッセージをどう受け取ったか】
[ちゅん]
まず、僕は『NARUTO』を読み進めていくにあたって、以下の3つのテーマを受け取りました。
[1]愛↔憎しみ
[2]現実↔夢
[3]忍者≒人間
これらのテーマを、物語終盤にかけて中心となっていく「うちはオビト」というキャラクターを例に超ざっくりと解説してみます。
オビトは名門うちは一族の落ちこぼれに生まれ、忍者学校ではエリートであるカカシと優しく可憐なリンと同じ班になります。何でもそつなくこなせるカカシにいいところを持って行かれながらも、オビトは持ち前の明るさと正直さで日々奮闘し、やがてリンに恋をします。
時は流れ、オビトはとある任務の途中で命を落とすことになり、死の直前、自らの特別な眼をカカシに移植させ、自分の代わりにリンを守ることを託します。そこから、カカシとリンはオビトの遺志を汲み強く生きていくはずでした。
しかし、現実は残酷な方に進みます。とある男に助けられ裏では一命を取り留めていたオビトは、カカシたちの元へ戻るべく決死のリハビリを続け、ようやく戦場にて二人と再会できたかと思えば、そこではカカシ自らの手によってリンの命が奪われているところでした。この経験によって、オビトのリンに向けていた大きな愛は大きな憎しみへと裏返り、やがて、こんな争いが続くだけの現実の世界をまるごと幻術にかけ理想だけの夢の世界を創る破滅的な計画に傾倒することになっていきます。
その計画の成就まであと一歩というところで、オビトは物語の主人公であるナルトと対峙することになります。ナルトはオビトに対して、忍者とは現実の世界の中でまっすぐ生きていくことだと何度も問いかけ、その圧倒的な眩いパワーに負けたオビトは計画から身を引くことを決心し、物語は少しずつ終盤に向かっていきます……。
[キキ]
NARUTOを読み、ちゅんの提起したテーマを織り込みながら考えると、「うちはオビト」というキャラクターの中には『葛藤』があるのではないかと感じました。オビトは作中で[1]愛↔憎しみの間で揺れ動く感覚を、[2]現実↔夢を実際に行き来し、破滅的に巻き込みながら自分も周りも傷ついていきます。傷つきながらそれでも進むしかない彼の姿を、読み進めていくうちに[3]忍者≒人間というテーマが、オビトもこころのどこかでキャッチしているからこそ、後に引けなくなりここまで傷ついているのではないかと感じ、『葛藤』しているのではないかと考えました。
【議題⓶ エンタメとの距離感】
[ちゅん]
僕は、ここ数年自分自身と向き合う中で、どうやらエンタメとの距離感が近めなのかもと感じるようになりました。『NARUTO』でも心理的にかなり揺さぶられる機会が多く、読むのが辛くなることもしばしばでした。
例えば、僕は上述のうちはオビトというキャラクターに大きく親近感を覚えていたため、物語終盤、彼が主たる登場人物たちにことごとく否定され説教される展開はなかなか苦しいところがありました。
フィクションの中の出来事だからといって、完全に切り分けて考えるのもエンタメを摂取している意味がないし、かと言って、フィクションの中の出来事をそのまま全て誠実に受け取るのも心身がもたないし、というような葛藤は今でもまだ付き合っています。
[キキ]
キキは、エンタメとの距離感はそこまで近いほうではないのかもしれないと議論の中で感じるようになりました。キャラクターの心情や、背景にある信念のようなものは理解できるし、共感もするけれど、やはりNARUTOという作品・世界の中での出来事で、キキにとってはエンタメの一つなのかもしれないなぁと、ちゅんと話を重ねるうちに感じるようになりました。一概に距離感というものに良い・悪いはないと思いますが、ちゅんの距離感を聞くと作品に対する没入感や、リンクする部分をとても繊細に感じ取っていて、キキ個人としては羨ましく感じる部分ではありました。
というように、議題①・➁ともに具体的な正解が見つかったというわけではないですが、深く良いセッションができたと思います!
●感想
[ちゅん]
『NARUTO』は僕の価値観や思考に大きく影響を与えた漫画でした。作中に含まれているテーマやメッセージは、現実で起きている様々な事柄にも通用し、人間やその社会がどう生きどう手を取り合っていくかといった問題を分かりやすく提起してくれていると思います。そんな現実社会にも還元し得るような作品をどうにか発信したり仕事化できないだろうかと感じていたところなので、今回のプロジェクトは大変嬉しく有意義なものでした。
また、長らくブログに現れていなかった職員さんのキキを登場させることにも成功し、大変満足です。また、このような機会があれば頑張りたいです。
[キキ]
学生の頃から少年漫画が大好きでNARUTOは読破していたので、ちゅんから声をかけてもらって、この様な形に発展したことは素直に嬉しかったです。ブログで発信するのも今回が初で、これが不特定多数の人に見られるのかと思うと若干緊張しています笑。それでも、同じ作品を共有し、手に汗握る展開やこの場面にはどう感じたかを議論して改めて言葉にすることは、ちゅんの考えや感じ方を聞ける機会になりましたし、私にとっても新鮮な気持ちで話すことができました。ちゅん、ありがとうございます。
NARUTOは個人的に『人との繋がりを諦めない』『自分の信念を諦めない』がテーマになっている作品かなと思っています。ちゅんとのNARUTO談義は、そういう意味でも新たな角度でちゅんとの『繋がり』が持てた機会だったと思うので、またの機会があれば話していきたいなと思います。